良い先生を見極める方法

変形性股関節症の進行を止めて手術を回避するためには、まず「自分の股関節には何が起きているのか」を正しく把握することが大切だとお伝えしてきました。

そして、そのために必要な知識をこのブログに書いています。

しかし、専門家でも難しい変形性股関節症の改善…自分一人で判断して取り組むのはお勧めできません。

より確実に症状を改善して手術を回避するためには、やはり信頼できる専門家の存在が必要になってきます。

では近くの整形外科に行けばよいのか、というとそんな単純な話でもありません。

例えば、野球やサッカー、ゴルフといったスポーツでは、世界で活躍できる”一流”と呼ばれる選手と、日本国内ですら活躍できない選手がいます。

プロになるだけでも十分すごいのですが、そのプロの中でも能力にはかなり大きな差があるということです。

病院の先生も同じです。医師になるだけで十分すごいです。ただ…その中でもやはり差があって、安心してお任せできる先生と、残念ながらそうではない先生がいます。

整体や鍼(はり)などの専門家も同じです。整体は無資格で開業できますし、鍼(はり)や灸(きゅう)は国家資格が必要ですが、資格を取った時点では治療家のスタートラインに立っただけです。

大切なのは、プロの治療家になってからどれだけ勉強をして経験を積んだかです。人間の体はまだまだ解明されていない部分が多く、常に研究が行われて新しい治療技術が開発されています。

ですので、知識や技術、経験…こういったものは先生によって当然変わってきます。診断の確実さや治療のレベルにも差が出て当然です。

ですから『先生選び』は、手術を回避できるかどうかを左右する重要なポイントになってきます。

「でも優秀な先生はどうやったら見分けられるんですか?」

はい、優秀な先生を見分けるのは簡単ではありませんが、優秀な先生ならそんなことはしないだろうという”危険なサイン”があります

もし今お世話になっている先生がいらっしゃる場合は、その先生のことを思い出しながらチェックしてみてください。

病状の説明をあまりせず、すぐに手術を勧める

他の記事でも書きましたが、手術でなければどうにもならないような股関節の痛みは、全体の1割程度です。

緊急性のある場合を除いて、手術という決断を下すまでにできることは山ほどあります。

私は、手術は『最後の砦』だと考えています。

手術をしたからと言って100%良くなるとは限りませんし、痛みや違和感が残る可能性もあります。

痛みの根源が関節そのものではなく股関節周辺の筋肉だったら、手術をしてもまた痛くなるのは目に見えています。

それに、人工関節にしてしまったら二度と元には戻せませんし、一定の期間を過ぎたら交換手術も必要になります。

ですから、変形性股関節症の改善に取り組むにあたっては、

改善が見込める選択肢を患者さんに示したうえで「どのような優先順位で何に取り組むのがよいか」を提案してあげるのが、患者さんにとって一番だと考えています

手術を行うかどうかは、患者さんの今後の人生を左右する重要な決断です。

その手術を専門家の立場から勧めるのであれば、それなりの理由、他に選択肢がない根拠を提示するべきということです。

ただ、中には患者さんにそれを伝える必要性を感じていない先生がいます。

「患者さんが症状を理解すること」と「症状が改善すること」には直接関係がないからです。

患者さんが症状を理解していなくても、適切な処置がされれば症状は改善します。

ですから、患者さんの「知りたい」「安心したい」という気持ちをどこまでくみ取ってくれるかは、優秀な先生の中でも差が出るところかもしれません。

「つべこべ言わず、私の言うとおりにしておけば問題ない」というスタンスの先生もいらっしゃいますので、わからないことがあれば勇気を出して聞いてみてください。

応急処置と根本治療を区別していない

治療には、痛みを感じないようにすることが目的の『応急処置』と、痛みの根源を取り除くことが目的の『根本治療』があります。

本来はこの2つを組み合わせて、今起きている痛みを取り除きながら、同時に痛みの根源を取り除き、症状の進行を抑え、再発を防止します。

ところが、先生の中には痛みの根源への取り組みが不十分で、痛み止めや湿布を処方するだけだったり、マッサージや電気を当てるだけで、治療が「その場しのぎ」になっている方がいらっしゃいます。

患者さんとしてはそれなりに痛みが和らぐので、そういった治療に通い続けている方が少なくありません。

ですが、実際は症状が進行していることが多く、だんだん痛みが強くなってきていたり、薬や施術が効かなくなってくるという状況に陥ってしまっています。

ですので、先生から治療の内容を聞くときは、それが痛みを取り除くだけの応急処置なのか、痛みの根源を取り去る根本的な処置なのかを意識しながら聞いてください。

そして、その場しのぎになっていると感じた場合は、今後どのように痛みの根源を取り除いていく計画なのかを聞いてみてください。

セカンドオピニオンや他の先生を希望した場合、快く応じてくれない

患者さんからすれば「誰が」治してくれるかは重要ではありません。痛みが無くなり、症状の進行が止まれば誰でもいいはずです。

その一方で、病院の先生や私のような治療家は、自分の知識や技術にプライドを持っている人が多いです。そして、自分を頼ってきてくださった患者さんを自分の手でなんとかしたいと思う傾向が強いです。

ですので、自分の治療で思うような効果が出ていなくても治療を続けたり、患者さんが他の医療機関やセカンドオピニオンの話を出した場合に、対応が悪くなりがちです。

しかし、心の底から患者さんの回復を願うのなら、自分の専門分野と自分ができることをふまえて、必要に応じて患者さんの病状にあった他の医療機関や先生を紹介するべきだと考えています。

「この先生は患者の立場で考えてくれているなぁ」という感覚を大切にして先生を選んでください。

先生選びで最も大切なこと

日本人は一般的に自己主張が得意ではないと言われています。実際、先生や治療内容に不満があっても何も言わなかったり、遠慮して先生や病院を変えない方が少なくありません。

そして、いよいよどうしようもなくなってから違う病院や治療院を探し始める。どうしてもっと早く…そういう方が私の治療院にもいらっしゃいます。

変形性股関節症は基本的にどんどん悪化していくものです。1日1日、少しずつですが”確実に”悪い方に向かっていきます。

遠慮している場合ではありません。おかしいと思ったら納得できるまで聞いて、一定期間続けても効果が出ていないのであれば、今お伝えした危険なサインを発していない先生を積極的に探しましょう。

ここまで手術回避のために必要な知識をお伝えしてきましたが、最後にご自身で変形性股関節症の改善に取り組むときの注意点をお伝えしていきます。

これだけは肝に銘じておいてください。

→ 変形性股関節症を自分で治す危険性とは…?