症状がどこまで進んでいるのかを知る

変形性股関節症は「進行性」

風邪やすり傷、切り傷などはほとんどの場合、放っておけば自然と治ります。しかし、変形性股関節症の場合は自然に治ることはなく、放置すると徐々に悪化していきます。

はじめは長時間歩いたときに脚のつけ根のあたりに違和感や痛みを感じるようになることが多いです。

しばらくすると痛みは消えるので、我慢してしまう方が多いのですが、放っておくとそのうち立ち上がりや歩きはじめにも痛みが出てきます。

それがだんだんひどくなってくると、安静にしている時や夜寝ている時にも痛むようになります。

症状が進行してくると、痛みだけではなく筋力が低下してきたり、股関節の可動域が狭くなってくるなど体が思うように動かなくなってきます。

足の爪切りや靴下の脱ぎ履き、和式トイレ、正座などがしづらくなり日常生活にも支障が出てきます。

さらに、痛みをかばう動作や姿勢が癖になってしまうと、腰痛やひざ痛、肩こりなど様々な症状も引き起こしてしまいます。

ですから、股関節に痛みを感じたらできるだけ早く「適切な」治療やセルフケアを開始して、それ以上悪化させないことが、手術を回避する上で大切なのです。

症状の進行は4段階に分類される

変形性股関節症の進行の度合いは次の4つに分けられています。進行の度合いによって手術を回避する取り組みが変わってきますので、自分の症状がどの程度進行しているのかを知っておくことは重要です。

これからお伝えすることを参考にして、自分の症状がどの程度進行しているのか見当をつけてみてください。

進行度1:前関節症期(ステージⅠ)

違和感や痛みはありますが、レントゲンを見ても異常がほとんど見られません。関節軟骨はまだすり減っておらず、股関節のすき間は十分に保たれています。

この時期に現れる代表的な症状は次のようなものです。

  • 以前よりも両足が外へ広がらなくなり、股関節が詰まる気がする
  • 股関節を動かすと、ポキポキと音がするようになった
  • 歩いていると、急に股関節がカクッとはずれるような感覚がある
  • ひざを胸に近づけるなど、股関節を深く曲げた際に引っかかる感じがする
  • 椅子にじっと座っているだけで辛く、股関節に違和感がある
  • 動いている時、股関節の骨が抜けて力が入らないような時がある
  • 長時間歩いたあと、股関節が重だるくなったり痛みが出たりする

進行度2:初期(ステージⅡ)

痛みを感じることが多くなりますが、しばらく休めばおさまります。レントゲンでは白く見える部分が出てきます。関節の軟骨がすり減りはじめて、関節の隙間が狭くなってきています。

一度この状態になってしまうと、悪化するスピードが徐々に早くなる傾向があります。「まだ大丈夫」などと考えず、すぐに対処を始めましょう。

進行度3:進行期(ステージⅢ)

歩く時の痛みが強くなって、安静にしているときでも痛むことがありますし、寝ているときに痛みで目を覚ましてしまうこともあります。

関節の軟骨がさらにすり減って、関節の隙間が狭くなります。骨に丸い空洞ができたり、骨にトゲができはじめます。

この時期になると次のような症状が出てきます。

  • 短時間の歩行や階段の登り降りに支障をきたす
  • しゃがむ動作が辛い
  • 足の爪が切りにくくなる
  • 靴下を履いたり脱いだりすることが難しくなる
  • 和式トイレで用をたすのが辛くなる
  • 車の乗り降りで足を動かすとき苦痛を感じる
  • しゃがんだ後、自力で立ち上がれない

進行度4:末期(ステージⅣ)

変形性股関節症の最終段階です。関節の軟骨がすり減って失くなり、関節の隙間もなくなっている状態です。骨盤の骨と大腿骨頭がむき出しになって直接ぶつかり、どんどん変形してしまいます。

激しい痛みに襲われるだけでなく、関節が動かなくなってしまうこともあります。こうなってしまうと日常生活の普通の動作をするのも困難です。

この時期の症状は次のようなものです。

  • 安静時や就寝時にも痛む
  • 腰痛やひざ痛などの二次的な症状が起こる
  • 移動、生活全般に制約
  • 左右の足の長さに明らかな差がある
  • 太ももの太さが左右の脚で異なっている
  • 明らかに歩きの乱れが存在する

さて、いかがでしょうか?

今の自分の股関節に起きていることがわかってきましたでしょうか?

もちろんこういったことを知らなくても、本やテレビで紹介されている改善法を手当たり次第に試していけば、いつかは改善されるかもしれません。

しかし、さきほどお伝えした通り、変形性股関節症は時間がたつにつれてどんどん悪化するものです。

たまたまテレビで見た改善法を信じて何年も取り組んだけれど、実はそれが自分には合っておらず、ほとんど効果が無かった場合、取り返しがつかなくなってしまいます。

より確実に手術を回避するためには、自分の関節軟骨がすり減ってしまう原因と、症状の進行具合をふまえて取り組みを決める必要があります。

これから具体的な取り組み方をお伝えしていくのですが、その前にもう一つだけ知っておいて頂きたいことがあります。

実は、変形性股関節症には改善を難しくしている3つの要因があります。

これを知っておかないと、やはり間違った取り組みにつながってしまいます。

「早く改善法を教えてくださいよ」と言いたいところだと思いますが、『急がば回れ』だと思ってもう少しだけ変形性股関節症についての理解を深めましょう。

→改善を難しくしている3つの要因とは?