痛みの根源を取り除く方法
痛みの根源は大きく分けて2つ
応急処置で痛みを緩和させることができたら、次は痛みの根源を取り除いていきましょう。
痛みの根源は大きく2つに分けられます。「股関節周りの筋肉」と「股関節そのもの」です。
変形性股関節症の初期は、筋肉が痛みの根源であることが多く、症状が進むにつれて関節が損傷して痛むようになるのが一般的です。
股関節のどこが痛みを引き起こしているのかを特定するのは簡単ではありませんが、どの筋肉に問題があるかを特定する方法ならあります。
ですので、次のような順番で痛みの根源を取り除いていくことをお勧めします。
失敗しない痛みの根源の取り除き方
1:股関節周りの筋肉を検査する
2:問題が見つかったら改善する
3:股関節を検査する
4:問題が見つかったら改善する
まずは痛みの根源である可能性が高く、問題が発見しやすい筋肉から改善していくのが基本です。
そして、筋肉の問題を改善しても痛みが残っている場合は、股関節を検査して改善に取り組みます。
それではひとつずつ詳しく解説していきます。
1:股関節周りの筋肉を検査する
股関節が体を支えたり、脚を動かしたりする中で使われる筋肉は23種類あります。
日常生活や仕事で特定の動作を繰り返したり、同じ姿勢を長時間続けたりすると、その中の特定の筋肉を使い過ぎることになって疲労が溜まります。
疲労が溜まったまま使い過ぎの状態が続くと、だんだん筋肉が硬くコリ固まってきます。
そして、硬くなった筋肉が周りの神経を刺激したり、圧迫することで痛みが発生します。
これが股関節の痛みの原因として一番よくあるパターンで、変形性股関節症の始まりとも言われています。
ですので、股関節の痛みの根源を取り除く最初の一歩としては、股関節周りの筋肉で凝り固まった所がないかを調べるのが一番です。
ただ、筋肉のコリはレントゲンなどの画像診断ではわかりません。実際に筋肉を触ったり、筋肉の状態をチェックする特殊な検査で調べる必要があります。
この技術を持っているのは、リハビリの先生(理学療法士)やカイロプラクティックに精通した治療院の先生です。
近所で評判の良い先生を見つけて診てもらいましょう。
ただ、もしかしたらあなたはカイロプラクティックと聞いて「怪しい」と思ったかもしれません。
たしかに日本には国家資格がありませんし、開業するにあたって国が定めたルールもありません。実際に未熟な治療家が骨格矯正を行い、事故も発生しています。
しかし、カイロプラクティック自体はアメリカやイギリスをはじめとする欧米諸国で社会的に認められた治療技術です。
例えばアメリカでは、主に筋肉や骨格の障害を取り扱う専門職として位置づけられています。カイロプラクティック専門の大学があって国家資格もあります。
ですから『カイロプラクティック=怪しい』という先入観を持たずに先生を選んでください。
筋肉の検査方法は一般の方にはほとんど知られていませんが、筋肉ひとつひとつに対応する検査方法があって、筋肉に異常があるかどうかを調べることができます。
知識と技術のある先生なら、問題がある筋肉の具体的な名前を出して状態を説明できるはずです。
先生の説明が具体的で筋が通っていると感じたら、検査は正しく行えていると判断してよいでしょう。
2:問題が見つかったら改善する
問題が見つかった筋肉に対して行う治療で、一番即効性があって効果が高いのは手技でコリをほぐすことです。
筋肉の検査ができる先生であれば、問題があったときに改善する技術も持っていると思います。
逆にどの筋肉に問題があるのかを具体的に説明できない先生は、治療できない可能性も高いです。
原因が正しく特定できて適切な治療ができれば、1~2回の施術で痛みの緩和が実感できるはずです。
逆に5回以上通っても痛みが改善しないのなら、原因を見誤っているか、治療する技術がないかのどちらかと判断してよいです。
別の先生や治療院をあたることをお勧めします。
3:股関節を検査する
股関節にある痛みの根源を特定するのは、筋肉に比べると少々やっかいです。
股関節の検査はレントゲンによる画像診断が中心になりますが、画像に写っている状態と痛みの程度は一致しないことがあるからです。
ただ、股関節唇(こかんせつしん)や滑膜(かつまく)など、痛みを感じる部位の損傷や、骨棘(こつきょく:関節軟骨がすり減ったり、骨盤のくぼみと大腿骨頭がこすれてできるトゲ状の骨)が画像上で確認できれば、それが痛みの根源である可能性は高いです。
整形外科の画像診断で「痛みの根源になり得る所がないか」診てもらいましょう。
4:問題が見つかったら改善する
現在の治療技術では、手術以外に股関節を「直接」治療することはできません。
変形した骨や、できてしまった骨棘を薬や施術だけで元に戻すことはできないのです。
施術や患者さんの力で出来ることがあるとすれば、次の2つくらいです。
① 施術で股関節を正しい位置に調整する
② 股関節周りの筋力をつけて、股関節の正しい位置をキープする
股関節が正しい位置におさまることで、股関節へ余計な負担がかかるのを防ぐことができます。
これは股関節を治療するというよりも、これ以上悪化させないための取り組みです。
股関節の負担が減って、正しい状態に落ち着けば股関節で起きている炎症はおさまってきますので、痛みが緩和される可能性はあります。
痛みが鎮まっても安心してはいけません
ここまでの流れを実際に行うことができれば、手術しなくてもよいと思えるくらい痛みが無くなっているでしょう。
しかし、それで安心してはいけません。
痛みの根源を作り出した根本原因を退治しておかなければ、またいつ痛み出すかわかりません。
本当の意味で手術を回避できたと言えるのは、再発の心配が無くなった時、つまり痛みの根源を作り出した根本原因を改善することができた時なのです。
手術回避を確実なものにするために、あと一歩です。